"Food" for thoughts...literally.

誰かが共感してくれたら嬉しい。

出産は命がけ(周産期心筋症になった私)

出産は奇跡だ。

 

妊娠すれば出産できるわけではない。

危ない橋をなんとか渡れた人だけが、無事出産できる。

 

私は周産期(産褥)心筋症を患った。

妊娠中から浮腫がひどく、歩くと息切れがした。

よくあることと病院で言われた。

 

里帰り後、体重も急激に増えた。

よくあることと病院で言われた。

 

妊娠高血圧症だった。

 

夜、1時間おきに起きてはトイレにいっていた。

よく寝れない日々が続いていた。

最後の2日間は、決まって夜10時頃、割れそうな頭痛がした。

 

頭痛が続いたので、病院へ行って検査してもらった。

赤ちゃんは無事だった。

ひとまず帰った。

血圧が上がっていたら連絡するようにとのこと。

 

次の日の夕方、ふと母に言われて血圧を図ると150!

病院に電話したら即入院。翌日帝王切開で出産。

 

帝王切開した先生は、

「子宮もむくんでいた。危ないところだった」との事。

 

とっさの判断で病院に行ったのがよかった。

あの時、電話するか迷った。

あの時、病院へ行くのも迷った。

でも行ってよかった。

あの時行っていなかったら、今、私は生きていただろうか。

 

出産後の喜びにひたる間もなかった。

帝王切開の傷がひどく痛みトイレもままならない状況で、

乳首の形が悪いとかで授乳に苦しみ、

母子同室を強要され、またもや眠れない日々が続き、

気がついたら、横になると呼吸困難に。

後で調べると、起座呼吸というらしい。

ヒューヒューという音が胸からしていた。

 

「あ、これは普通じゃない。私死んじゃう。」

 

とっさにそう思った。

 

あまりウルサイ患者と思われるのが嫌で

症状を訴えるのを控えてしまうタチだが、

今度ばかりは言わないとこのまま死んでしまうと思った。

 

今思うとひどい産院だった。

テレビで取り上げられたりしていたけど、外面がいいばかりだ。

 

妊娠高血圧症だったのに塩分制限なく、

むくみがひどいと訴えたら水をたくさん飲めと言われた。

目標は一日1.5リットルから2リットルと言われた。

転院先の病院で聞くと、それはいくらなんでも多すぎるそうだ。

 

そのことが、急激な体重増加につながり、

心臓に負担をかけ、肺に水が完全に浸かっていた。

胸の音はそのせいだった。

 

幾度と無く不調を訴えても「よくあること」と済まされていたが、

口で訴えてもだれもわかってくれないので、

苦しいけれど横になってぜーぜーしているところを診てもらった。

やっと、ことの重大さを理解したのか、

別の病院へ連絡してくれた。

 

その病院は、すぐ救急車で来るようにとのこと。当たり前だ。

自分でもわかる。”なにかがおかしいのだ。”

 

今考えると予兆はあった。帝王切開の前日の夜。

なぜか不自然に急に左の奥歯が痛むのだ。

ネットで調べると「心不全」と出る。

「まさか」とその時は思った。

でも、火のないところに煙は立たない、のだ。本当に。

 

CTやレントゲン、エコー検査の結果、

心臓機能が、普通の人の3分の1しか動いていなかった。

 

心不全と肺水腫

 

周産期心筋症の疑いとの診断だった。

CCUに運ばれた。

 

私が?なぜ?

 

あちこち点滴打たれ、採血や検査をする。

産んだばかりの子どもに会えない日々が3週間続いた。

毎日泣いてばかりで、夜も寝れないので睡眠薬を処方された。

 

薬により毎日体重が3kg減っていた。

退院する頃には、全部で14kg減っていた。

全部、体の中に溜まっていた「水」だったそうだ。

 

心臓カテーテル検査の結果、間質に線維化があるとのこと。

治る範囲と言われたが、私は半信半疑だ。

 

だって先生によって、言うことが違うんだもん。

 

最初に言われたのは、

「残念ながら、歳の割には線維化があった」

「妊娠する前から炎症があった可能性が高い」

とか。

 

は?私、心臓弱かったの?

 

確かに、山登りやサイクリングで息切れがひどいとは思っていた。

それもこれも、太ってしまったからだと思っていた。

 

両親が、いつ頃から心臓の線維化が始まっていたのか

はっきりしてほしい、と詰め寄ると、

なぜか病理科の部長と言う先生が出てきて、

 

「線維化は間質だけで、将来治る」

「線維化は、妊娠の期間中に起きたと考えられる」

 

と、以前とは全くことなる見解を述べてきた。

は?

 

あまり悪い結果を聞かされるのも辛いけど、

だからといって、甘い判断で良い結果を伝えられて、

後で悪くなっても本当に困るのですけど。。。

 

確かに私も、私の両親も事によっては

病院を訴える気構えがあり、質問もやたら多い。

詳細に症状を聞きたがる方だが、患者としては当然じゃないだろうか?

 

里帰り先の病院なので、いずれは転院する事がわかった途端、

あまい診断結果を伝えられて気持ちよく去ってくれ、みたいな方向になるのは

ひどすぎる。

 

医者ってそういうもんだろうか?

もちろん、医者だって人間だ。

だからといって、ウルサイ患者が別の病院に転院になるからといって、

急にあまい診断を告げてくるのってずるくないか?

 

今の病院は、転院してきた私を

「よくしらない患者」みたいに扱う。

紹介状や資料もまともに見てくれない。

確かに膨大な量だ。でも診てもらえないと困る。

これからずっと通うことになるのだから。

 

今度こそあの部長さんに言おう。

できれば、エコー検査の結果少し弱いと言っていた

私の心臓の動きが前からなのかどうかを。

忙しそうにはしてるけど、私だって一人の患者なのだ。

もう、手遅れになるとか、軽く扱われるのは嫌だ。

 

皆さん、医者はえらいけど、えらくないよ。神様じゃない。

間違いも犯すし、めんどくさがる。

ウルサイ患者はなるべく関わらないように扱われる。

 

数々の医療の小説や漫画が教えてくれる。

医者だって、面倒くさい患者は嫌なんだ、と。

 

だったら、患者の方だってなんとか賢く診てもらわないと。

受け身になって、言われるがままでいたら見過ごされる。

「すみませんでした、見過ごしていました」と行って、

死んでから言われても遅いのだ。

 

自分の身は自分で守らなくちゃいけないのだ。

 

それを学んだ。